クラフト家具と暮らそう!

以前知り合ったイギリス人の女性は、
すでに何年も日本に住んでいるということもあり、
日本語もペラペラで日本の文化も大好きな人だった。
当時彼女は、舞妓さんをモチーフにした木版画のポストカードを作っていて、
それがまた、とっても素敵だった。

木版画というのは、版木を彫るのが何より大変な作業。　
しかも多色刷りなら色の数だけ版を彫らなければいけないから、
ひとつ作品を作るだけでも相当な時間がかかるので、
それが苦痛だと言っていた。

ある時、彼女は突然制作をパソコンに変更した。
そして、今まで作っていた木版画と同じ原画で、ＣＧの木版画風作品を作るようになった。
曰く、「木版画をそのまま作るとひとつの作品に1ヶ月もかかってしまうけれど、
パソコンならば2時間で出来る。これで沢山作品が作れるようになる。」
と、ひどくご満悦だった。

でも、見せてもらったパソコンで作った作品は、とても味気ないものだった。
同じ原画で作った木版画には迫力もあったし、人間臭さもあったけれど、
パソコンで作った作品には、勢いがなかった。
同じ和紙にプリントされたインクは、手刷りと同じようにかすれてはいたのだけれど、
ムラなく均一にかすれているから、間延びして見えた。
お金出してまで、欲しい作品じゃなかった。
手作業を手放すって、こういうことなんだなぁって、実感した出来事だった。

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先日のＩＦＦＴでは、今年も多くの皆様に木のいえを購入していただいた。
リピーターも多く、持っていった現品は完売したし、
おまかせ注文も、たくさんいただいた。
新しい企画のお話もあり、全部手作業で作るのが大変な分、
着実にファンができてくれるのは、とても製作の励みになる。

そして今年も、本当に多くの皆さんから、
「絵はレーザーで描けばたくさんできるよ。」とか、
「焼印をつくれば簡単だよ。」と、
大きなお世話ともいえるアドバイスをいただいた。

そして、そう言われるたびに私は、あの、
つまらないただの印刷物になってしまったイギリス人の女性のポストカードを
しみじみ思い出すのだ。



産業フェアしずおか2016
会期・・・１１月２６日（土）２７日（日）
時間・・・9：30～16：00
会場・・・ツインメッセ静岡

北館・地場産業ゾーンに出店します。ぜひお越しください。