クラフト家具と暮らそう!

シズオカKAGUメッセは、年に1回開催される産地の見本市なので、最も重要な日程は、間違いなく業者商談日だ。しかし残念ながら近年、ご来場いただける業者数が増えない。今年も、出展者や来場者を増やすために、メッセ委員会の皆さんが、いろいろな企画やPRなどの準備をしてくださった。その努力と苦労にはただただ頭が下がり、素直に感謝しかない。

でも、業者の皆様がわざわざ静岡まで来て、仕入商品を検討していただくために一番大事ことは、各企業の努力しかない。メーカーというのは商品のみならず、新しいマーケットを創造し続けることが重要で、そこがおざなりになると、先細るしかない。「新しいものがある」「おもしろい取り組みをしている」そんな場所には、人が集まる。逆に、「いつもいっしょのものばかり」「どっかで見たようなものしか無い」という場所には、わざわざ出かける意味が無い。せっかく企画委員の皆さんが立てた集客プランも、各企業の努力が無ければ報われようがない。

安易な商品にも、問題がある。他社のアイデアを真似したり、そのものズバリをパクってるものもチラホラ散見する。「あれ、〇〇のパクリだよね？」と言えば、「昔からみんなやってるじゃん」と、悪びれなく言う人のなんと多いことか！オリジナリティーとスペシャリティーは、そのまま会社の、そして産地の看板でもある。他社の美味しいところをつまんでいる会社という印象が定着したら、取り返しがつかない。

今後、たくさんの業者様が家具メッセにご来場いただくためには、外に出てPRすることも重要。たとえばIFFTのような、全国各地の産地が集まり、海外からも買い付けにやってくるような場所で、「静岡家具」を大きく印象付ける取り組みには、できる限り多くの企業の参加が望ましい。メッセ出展社数とは言わないまでも、毎年相当数の企業の参加が続けば、少なからず産地静岡の知名度アップにもつながっていくはず。昨年は、静岡からのIFFT出展社数はわずかに5社だった。ここまで少ないと、会場内で埋もれてしまって、産地のPRにならない。

首都圏で行われる大きな展示会は、地元開催の展示会とは出展者の意識もレベルも全く違う。来場されるお客様は、いろいろな商品をさんざん見ているので、目が肥えている。そのお眼鏡に叶う商品開発をしなければ、結果を残せず帰ってくることになる。負けが込むと、経営が苦しくなる。だから必死で開発することが大事になる。レベルの高いところで戦うということは、そういうことだ。

サッカーに例えて考えれば、わかりやすい。ワールドカップで活躍する選手になるためには、日本代表に入り、かつ本番で起用されるレベルにならなければいけない。そのためには、早くから海外の厳しい環境でもまれることが大事だ。そして、チャンスがあれば常にアピールすること、結果を数字で残すこと。念願かなってワールドカップに出場できても、試合で結果を残せなければ意味が無い。逆に印象に残るプレーができれば、次のステップが待っている。そういう選手がたくさん出てくれば、日本のサッカーが世界から注目される。世界の強い選手が日本でプレーするようになる。その結果、Jリーグが活性化する。それと同じと思えば良い。

産地の知名度が全国的でない以上、これからは逆輸入方式で知名度アップを図ることが大事だと痛感している。いつまでも外に出ないで地元にいては、だれも気付いてくれない。静岡でお客様が来るのを待っているだけでは、どんなに大声で叫んだって、誰も振り返ってはくれない。